ファイナンシャルプランナー監修！ソニー損保が「火災保険 見直しポイント10箇条」を公開

適切な火災保険の選び方や見直し方を多くの方に知ってもらうために、さまざまな情報発信を行っている、ソニー損害保険株式会社。

今回は、2024年10月に火災保険料が改定されることをうけ、ファイナンシャルプランナーである清水香さん監修のもと、「火災保険 見直しポイント10箇条」を公開するとともに、ソニー損保の火災保険の補償内容について紹介しています。

損害保険料率算出機構は、2023年6月に全国平均で13.0％の参考純率の引き上げを発表し、それを受け、 2024年10月に火災保険料の改定が行われることが各保険会社から発表されました。

今回の参考純率の引き上げ幅は2014年以降で最大となっており、この背景には、近年頻発する自然災害による被害が増加し、それに伴う保険金支払いが増えていることが要因で、また今回の改定では、参考純率の引き上げに加え、これまで全国一律だった火災保険の水災料率が5つの区分に細分化されるのだそう。

水災リスクが最も低い「1等地」から、最も高い「5等地」までの区分が設けられ、リスクの高いエリアにお住まいの方は火災保険料がより高くなる可能性があるため、居住エリアの自然災害リスクを正確に把握し、補償内容を適切に選択・見直すことが重要なのです。

2024年10月、損保各社で火災保険料が見直されて引き上げられ、さらに今回は、火災保険のうち水災を補償する部分の保険料が、所在地の水災リスクに応じた金額に細分化されます。

床上浸水や土砂災害のリスクが高いエリアは保険料が高くなり、逆にリスクが低いエリアは保険料が安くなり、多くの損保会社は市区町村別に5区分の保険料を設定していますが、中にはハザードマップをもとに丁目単位で区分を設け、よりリスク実態を踏まえた保険料を設定する損保会社もあるのだそう。

火災保険は、都道府県や住宅構造、築年数、補償内容などの要素で保険料が変わり、0月以降はさらに、住所が保険料を決める新たな要素に加わるため、10月以降に火災保険の契約をするとき、保険料の負担が増したと感じる世帯は少なくないでしょう。

火災保険料を決める要素は損保各社で異なり、より複雑になったそうで、契約の仕方や補償選びでも保険料が変わってくるため、複数の火災保険の見積りを取って比較検討することが欠かせなくなっています。

そこで今回は、火災保険が改定される背景や火災保険の見直しに際して知っておきたいポイントを解説します。

損保各社による火災保険の今回の改定は、2023年6月に実施された火災保険の参考純率改定を受けて行われるもので、この参考純率とは、損害保険料率のうち保険金に充てられる部分となる純保険料率にあたるもののこと。

業界団体である損害保険料率算出機構が提供しており、各損保会社は火災保険料率を決める際、参考純率を踏まえて独自に保険料率を決定します。

2023年6月の改定により、参考純率は全国平均で13%引き上げられていますが、過去最高の引き上げとなった背景には、一定規模の被害を及ぼす風水災が近年ほぼ毎年各地で発生していること、災害等で被害を受けやすい老朽化住宅が増えていること、さらに、修理費高騰により保険金支払いが増加していることがあります。

そのため火災保険収支は近年、恒常的な赤字を余儀なくされ、参考純率を引き上げざるを得ない状況になったそうです。

ただ前述のように、参考純率13%の引き上げはあくまでも全国平均であり、かつ実際に私たちが負担する保険料は各損保会社が独自に決めるため、住まいの要件により保険料の多寡は変わり、保険料が下がる場合もあります。

水災料率の細分化が今回行われることになった理由は、契約者間の公平性を期すためです。

火災保険の「水災」は、河川の氾濫などの洪水のほか、集中豪雨等で低地に水が溜まる内水氾濫、土砂災害などによる住宅等の損害を補償してくれます。

水災リスクの有無や深刻度はいうまでもなく立地で異なり、これまでは、地域ごとの水災データが不十分で、全国一律の水災料率が用いられていましたが、これを不公平として、保険料負担の公平性の観点からリスクに応じた保険料を設定すべき、との指摘もなされていました。

地球規模の気候変動の影響もあり、昨今、水災リスクは深刻化していますが、予想を超える被害を受ける恐れは誰にでもあり、ひとたび床上浸水や土砂災害の被害を受ければ、住宅や家財の損害は相当深刻なものとなるのです。

誰もが納得して水災補償を選択できることが重要であることからも、契約者間の公平性を担保し、リスクに応じた水災料率が設定されることになったのだそうです。

10月以降に火災保険料がアップするとしても、火災や災害といった非常事態において住まいや財産を守る火災保険を解約することはお勧めできません。

しかし他方で、物価上昇が続き家計への負担は大きくなってきていることから、可能な限り保険料を抑え、かつ安心な補償を確保するために知っておきたい「火災保険 見直しポイント10箇条」を、ご紹介しながら解説していきます。

まず1つ目は、保険期間を長期にすると安くなるということ。

火災保険期間は現在、1年～5年の間で選択でき、保険料の面からみると、保険期間が長いほど保険料は安くなるため、同じ補償内容で、かつ保険料の支払い方法がいずれも年1回の場合、保険期間1年より5年のほうが保険料は安くなります。

2つ目は、保険料をまとめて払うと安くなるということ。

火災保険料は、分割よりも一括で支払う方が安くなり、同じ保険期間5年とした場合でも、保険料を年1回、5回にわたって支払うよりも、契約時に5年分を一括払する方が5年間の総保険料は安くなるため（※）、より長い保険期間で、かつ保険料をまとめて支払えば、補償内容を変えなくても保険料を抑えることができます。

3つ目は、月払で1度に支払う保険料を安くするということ。

一括払や年払よりも、同じ保険期間での総保険料は高くなりますが、1度に支払う保険料の負担を軽減したいなら、支払いやすさでは優位となる月払にする選択肢もあります。

火災保険は、火災や災害といった非常事態による深刻な損害をカバーする保険のため、負担がキツイからと、火災保険に入らないという選択肢は避けるべきであり、足元の保険料負担を抑えながらも、確実に補償を確保するために、知っておきたい手段です。

※保険料が5年間変わらない場合。

4つ目は、免責金額を設定すると安くなるということ。

火災保険を契約するとき「免責金額」を設定すると保険料が安くなりますが、この免責金額とは自己負担額のことで、多くは3万円や5万円、10万円などの金額から選択でき、免責金額が高いほど保険料は安くなります。

たとえば、10万円の免責金額を設定すると、10万円以下の損害では保険金が受け取れず、また、100万円の損害が生じたとき、受け取れる損害保険金は90万円になり、それでも自分で工面できる損害額を対象外とすれば、保険料を抑える選択肢が生まれるのです。

5つ目は、重複する特約を外すと安くなるということ。

火災保険も含め、加入している保険に特約が重複して付帯されていないか確認し、付帯している特約が十分な保険金額なら、重複する特約はやめても問題ありません。

たとえば、個人賠償責任保険特約は自動車保険や傷害保険、共済などにも付帯でき、補償される金額は実損額までのため、複数契約をしていても無駄になってしまいますが（※）、無制限の保険金額を確保しているなら、1世帯に１契約で心配無用です。

6つ目は、水災補償はハザードマップを踏まえ慎重に検討することが大切だということ。

保険料を重視するあまり、必要な補償を外すことは避けましょう。

とりわけ、床上浸水や土砂災害などの深刻な被害をカバーする「水災」は優先度の高い補償で、水災による被害が全国で増加している現状がある一方、火災保険に水災補償を付帯する世帯は近年減ってきていますが、保険料を下げるために災害時の経済的リスクを上昇させては本末転倒です。

マンションのような堅固な建物であっても、集中豪雨によって立地の水はけが悪くなり、排水口から水が逆流することも考えられるため、集中豪雨が原因の損害は、水災が付帯されていないと補償が受けられません。

ご自身のお住まいの自治体が作成する、水災や土砂災害などのハザードマップから住所地にどのようなリスクがあるかを確認して、水災補償を付帯するかを慎重に検討しましょう。

※無制限を除き、複数契約があるときは各契約の保険金額の合算額が補償上限となる。

7つ目は、誰でも被害に遭う恐れを理解し、地震保険の付帯を検討すること。

地震保険は誰にとっても優先度の高い保険といえ、いつ、どこで、どの規模で起こるかがわからないのが地震であり、誰でも被害を受ける恐れがあるのです。

巨大地震が起きると、甚大な被害が生じる恐れもあり、そこで地震保険は、損保会社だけでなく政府も保険金の支払い責任を負う官民一体の制度で運営される非営利制度として成立しており、損保会社に利益は生じません。

補償されるのは火災保険金額の最大50%で、受け取れる保険金は損害に応じたざっくり4区分（全損・大半損・小半損・一部損）となり、この点は、住宅を再建できる保険金が受け取れる火災保険とは異なりますが、公的支援が限られるなか、地震保険は生活再建を支える有力な手立てとなりうるものなのだそう。

とりわけ、持ち家で住宅ローン残債が相当額あり、手元の現金が少ない場合、被災後の生活再建は厳しくなりがちなので、非常事態における家計予測を踏まえて加入を検討しましょう。

8つ目は、物価が上がれば保険金額の見直しも必要になること。

火災保険金額は定期的に見直すことが大切で、長期間そのままにしておくと、実際に必要な額より少ない保険金しか受け取れないことがあります。

火災保険金額は、現時点で住宅を再取得（再建）できる金額で設定するのが基本となるため、住宅新築時にその価格に合わせて火災保険金額を設定しても、その後に物価が変動すれば、住宅再建に必要な金額は変わってしまうのです。

適切な保険金額にしておかないと、思ったように保険金が受け取れないトラブルが生じがちなので、契約の際には、保険金額も確認して、必要であれば見直しましょう。

9つ目は、住宅ローンと一緒に掛けた火災保険が切れる前に見積もりをすること。

住宅ローン完済時、火災保険が切れたまま放っておいていませんか？

住宅ローン契約のとき、以前はローン期間に合わせて最長36年の長期の火災保険に加入することができましたが、ローン完済時に火災保険が切れているのに、そのままにしているケースも見られます。

火災保険は生活基盤を守る保険となり、近所からのもらい火、災害による被害など、いずれも火災保険や地震保険がなければ生活再建は多くの場合困難となるため、火災保険が切れないように注意しましょう。

最後に10つ目は、保険の見直しはすべての保険を並べて検討すること。

家計における保険料の負担を抑えたいときは、火災保険のみならず、世帯で負担しているすべての保険をあわせて見直すのが大切で、保険で備えたほうがよいリスク、貯蓄で準備するのが合理的なリスクを切り分けて、改めて加入する保険の要・不要を考えるのがポイント。

その判断基準は、「手元のお金で対応できない事態」「家計に大きな影響が及ぶ事態」「公的な給付・支援が不十分な事態」の3つです。

これが保険で準備したほうが良いリスクなので、こうした視点で、火災保険をはじめ、わが家の保険をぜひ今一度見直してみてくださいね。　

FP＆社会福祉士事務所OfficeShimizu代表で、生活設計塾クルー取締役。

1968年東京生まれで、大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランニング業務を開始。

2001年に独立系ＦＰとしてフリーランスに転身後、家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組み、近著に「どんな災害でもお金とくらしを守る」（小学館クリエイティブ）があります。

CFP®認定者／FP1級技能士／社会福祉士

台風や暴風雨などが原因で起こる洪水・高潮・土砂崩れなどにより、建物や家財に再調達価額(※)の30%以上の損害が生じたとき、または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水となった結果、損害が生じたときに、保険金を支払われます。

※万一事故が起きた場合、実際にかかる修理・建て直しに必要な金額のこと。

従来、水災の保険料は構造級別ごとに全国⼀律でしたが、ソニー損保では2024年10月1日以降が保険始期日となる契約を対象とした商品改定で、所在地を"丁⽬単位"で細分化してリスクを判定し保険料に反映。

"丁目単位"のリスク細分を導入することで、より実態に沿った合理的な保険料の実現を目指しているそうです。

地震保険は火災保険とセットで加入することができ、加入すると地震による建物の倒壊や火災、地震によって発生した津波による住家被害など、地震等を原因とする建物や家財の損害が補償されます。

地震保険で補償される金額は、最大でも火災保険の保険金額の50%ですが、ソニー損保の新ネット火災保険では、「地震上乗せ特約（全半損時のみ）」（※）をセットすることで、最大100%（火災保険に対して）の補償額にすることが可能となっているそうです。

※地震上乗せ特約の正式な特約名称は、「地震危険等上乗せ補償特約（全半損時のみ）」です。

地震保険によって全損、大半損または小半損としての保険金支払の場合は、地震保険による保険金と同額が支払われます。(一部損の場合はお支払いの対象外）なお、この特約は地震保険の保険金額を「火災保険の保険金額の50%」に設定した場合のみセットすることができます。