【レポ】荷物の伝票番号でオートロックを解錠!日本初の宅配システム「Pabbit」を体験

更新日:2022/06/28 15:01
新型コロナウイルス感染症による環境変化や年々高まるEC需要で宅配便取扱個数が急増。宅配ボックスの設置や置き配など配達方法も工夫されていますが、「宅配ボックスが満杯で空きがない」「配送員を十分に確保できない」などの課題も。そこで、荷物の伝票番号をセキュリティ解錠キーとして活用する画期的な宅配システム「Pabbit」が発表されたと聞き、開発秘話とともにデモ機を体験してきました。

宅配便を取り巻く環境が時代とともに変化

近年、新型コロナウイルス感染症拡⼤による環境変化を受けて、ネットショッピングの利⽤機会が年々増加。国土交通省の発表では、2020年の宅配便取扱個数は48億3647万個で、前年から5億1298万個(約11.9%)も増加しています。今回お話を伺った、株式会社PacPort 営業部セールスマネージャー 大﨑直人さんによると、この数字には米・シアトルに本拠地を置き、国内でも広く利用されているアマゾンは含んでいないため、実数はさらにあるのだそう。

マンションの共⽤スペースにおける宅配ボックスの設置や敷地内への置き配など、配達方法も様々な工夫がなされていますが、特にオートロック付きマンションでは「個人専用のボックスでないため、荷物が取り出されるまで時間がかかって宅配ボックスの空きがない」「共用部への置き配は防犯上難しい」などの理由から再配達にならざるを得ない状況です。

また、配送業者の人手不足対策や配送時のCO2排出量抑制の面からも改善が急務となっています。

構想から4年、ついに宅配は荷物認証の時代に

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その解決の一助として、荷物ごとに割り振られた伝票番号(バーコード)をセキュリティ解錠キーとして活用する宅配システム「Pabbit」が発表されました。開発したのは、インターホン最大手のアイホンと宅配ソリューションを手掛けるPacPort。

「Pabbit」は、オートロック付きマンションのエントランスインターホンで、配送業者が荷物の伝票番号を認証キーとして解錠できるため、居住者の不在時でも⼊館が可能となり、各階・各⼾専⽤宅配ボックスまで荷物を届けることを実現しています。大﨑さんによると、入館可能な配送業者や宅配ボックスの数は建物の管理者やスペースによってアレンジできるそうで、居住者にとっては荷物を24時間受け取れるようになるメリットも。

不在時に届けてくれるのは便利な反面、セキュリティが心配になりますが、配達員がエントランスインターホンを解錠する際、それぞれの配送業者のサーバーに荷物の伝票番号の有効性や配送中の状態であるかの確認を自動的に行うため、配達員のなりすましや誤配送を防ぐ⾼いセキュリティも実現しています。

「Pabbit」は、日本の宅配サービスにおける”ラストワンマイル”問題を解決したいとの想いのもと、2018年の構想からおよそ4年の年月を経て今回の実装に至ったそう。

「Pabbit」によって配送のストレスから解放

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エントランスインターホンで荷物の伝票番号を認証して通⾏キーとするシステムとして、⽇本初となる「Pabbit」。

従来の“ヒト”(宅配員)認証から“モノ”(荷物)認証へと配送の仕組みを大きく転換することで、荷物を届ける配送業者にとっても、荷物を受け取る居住者にとっても、便利で優しいシステムを提供できるといいます。

これまでオートロック付きマンションに荷物を届ける際、配送業者は人員確保から入館手続き、独⾃のシステムや端末の開発など、コストや手間が発生していました。「Pabbit」は、配送業者ごとのシステム開発も不要で、且つ高いセキュリティを担保しつつフロアセキュリティがかかっている物件でもスムーズな階間移動ができるため、配達員の負担軽減につながります。居住者の在不在にかかわらず荷物によって認証・入館できるため、再配達の削減も期待されます。

居住者にとっては、数時間ごとの時間指定はできるものの、いつ届くのか分からず待ち時間や行動が制限されていたストレスから解放されるメリットが。コロナ禍においては非接触・非対面の配送は心的負担が緩和される、うれしいポイントです。

一方で再配達を依頼する場合、追加配送料がかかるわけではないため、気軽に依頼をしてしまっていたという人も少なくないのでは?実際に再配達でも受け取りが完了せず、再々配達になってしまうケースも生じているそうで、その度にトラックでの輸送によるCO2排出や、配達員へ負担がかかっていることを受け取り側として忘れずにいたいですね。

「Pabbit」デモ機で配達員を疑似体験

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今回、アイホン株式会社のショールームにお邪魔して、「Pabbit」のデモ機で配達員の疑似体験をしてきました。

オートロック付きマンションを想定したエントランスインターホンでまずは、画面上の「Pabbit」をタッチ。
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(表示画面はデモ仕様)
配送業者の選択画面に遷移したら該当する業者をタッチします。
続いて、居住者の在不在を確認するため、まずは部屋番号を入力。

反応がないまま一定時間を過ぎると不在と認識されるので、荷物の伝票番号を入力します。すると、配送業者のサーバーに荷物の伝票番号の有効性が自動的に行われる仕組みです。
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伝票番号の有効性が確認できると、エントランスインターホンが解錠されて入館できるようになります。配達員にとって入館までの手続きが煩雑になる印象はなく、一連の流れは非常にスムーズ。

万が一、未登録の伝票番号や配送完了状態の伝票番号を入力した場合は、エントランスインターホンは解錠されないため、入館はできないという仕組みです。
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(イメージ)
入館後、各階や各⼾に設置された宅配ボックスや⽞関先まで荷物を届けます。

PacPortが手がける宅配ボックスに荷物を投函する際、伝票に記載されているバーコードをスキャンすることでボックスが開く仕様です。同一住所宛であれば、ボックス1個につき荷物を3個口まで投函できるようプログラミングされています。(荷物の大きさによって物理的に入らない場合を除く)
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さらにカメラを内蔵しているため、施錠時にボックス内を撮影する機能も搭載。
専用アプリをダウンロードすると、投函のお知らせやロッカー内の画像が通知されるほか、荷物を取り出す際のQRコードも確認できます。

宅配ボックスは、M、Lの2サイズ展開。縦横自由に組み合わせられるため、規格が定まっている一般の宅配ボックスに比べてスペースに応じた設置ができるのだそう。
また、PacPortが提供するスマートロックを取り付けることで定型のボックス以外でも宅配ボックスとして活用できます。

ネットスーパーやクリーニングでの展開も視野に

「Pabbit」というネーミングには、「先端ITを活⽤して住まいの安全を守りながら、荷物が確実に届くライフスタイルを実現したい」という想いが込められているそう。ロゴデザインは、オートロックを⾶び越えて荷物が届くというサービスを表す、うさぎがモチーフになっています。

すでに戸建住宅やシェアオフィスで活用されているほか、現在建築中の分譲マンションでの導入も決定しています。

アイホン株式会社 宅配ソリューション事業開発プロジェクト 統括リーダーの三浦勇吾さんは「インターホン業界でも荷物の受け取りや再配達の課題、CO2削減に貢献できないかと向き合ってきました。Pabbitはデバイス1つでソフトウェアを各配送業者用にアレンジできる強みがあります。配送業者との連携に加えて、ネットスーパーやクリーニング、通信販売ともセキュリティを担保しながら荷物を安全に届けられるよう展開していきたい。」と今後の展望について話しています。

日常に直結する住まいや宅配を通した新しいシステムにぜひ注目してみてくださいね。

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