【レポ】東洋製罐グループと辻調理師専門学校が“長期保存できるフルコース”を共同開発
更新日:2024/10/07 18:20
東洋製罐グループホールディングス株式会社と辻調理師専門学校が共同し、食を通じた社会課題解決を目指す「+Recipeプロジェクト(プラスレシピプロジェクト)」を本格始動。2024年9月23日、本プロジェクトの第一弾として開発した“長期保存できるフルコース”を味わう試食会が開催されました。
食で社会課題を解決する「+Recipeプロジェクト」
近年、食を取り巻く環境が大きく変化し、食料自給率の低下、フードロス問題、災害時の栄養補給などの様々な社会課題が顕在化しています。
こうした背景をうけて、世界初のレトルトパウチの実用化など、創業以来100年以上にわたり容器のイノベーションに挑戦し続けている総合包装容器メーカーの東洋製罐グループと、60年以上にわたり食文化の発展に貢献する人材を育成してきた辻調理師専門学校は、食の未来を革新し、持続可能な社会の実現に貢献することを目的として、2021年に「+Recipeプロジェクト」を発足しました。
それ以降、レトルトでレストランクオリティの味を再現する研究を軸に、レトルト加工したものを半製品として調理に活用する試みなど、包装容器と調理のノウハウを融合させた様々な取り組みを推進しています。
こうした背景をうけて、世界初のレトルトパウチの実用化など、創業以来100年以上にわたり容器のイノベーションに挑戦し続けている総合包装容器メーカーの東洋製罐グループと、60年以上にわたり食文化の発展に貢献する人材を育成してきた辻調理師専門学校は、食の未来を革新し、持続可能な社会の実現に貢献することを目的として、2021年に「+Recipeプロジェクト」を発足しました。
それ以降、レトルトでレストランクオリティの味を再現する研究を軸に、レトルト加工したものを半製品として調理に活用する試みなど、包装容器と調理のノウハウを融合させた様々な取り組みを推進しています。
そして今回は、缶詰やレトルトパウチで長期保存を実現するフルコースを開発。
本プロジェクトに関する発表に合わせ、辻調理師専門学校にて“長期保存できるフルコース”の試食会が開催されました。
本プロジェクトに関する発表に合わせ、辻調理師専門学校にて“長期保存できるフルコース”の試食会が開催されました。
缶詰やレトルトパウチを用いた長期保存可能な本格料理5品のフルコース
今回の試食会にて振る舞われたのは、本格料理のフルコース全5品。
缶詰の殺菌工程である加圧加熱殺菌(レトルト)を調理工程の1つと捉えて作られた「鹿スネ肉のプレゼ」や「トマト・ファルシ」をはじめとして、辻調理師専門学校が求める味を、東洋製罐グループの“つつむ力”で再現した、ここでしか味わえないフルコースです。
缶詰の殺菌工程である加圧加熱殺菌(レトルト)を調理工程の1つと捉えて作られた「鹿スネ肉のプレゼ」や「トマト・ファルシ」をはじめとして、辻調理師専門学校が求める味を、東洋製罐グループの“つつむ力”で再現した、ここでしか味わえないフルコースです。
まず1品目は、缶詰にて丸ごとトマトが保存された南仏の郷土料理である「トマト・ファルシ(トマトの肉詰め)」。
缶詰で保存されていたとは思えないほどのフレッシュさが残るトマトは、2030年頃に建設予定の月面基地でも生産が予定されているもので、加圧加熱することでヘタの部分まで全て可食することができるのだそう。
トマトに詰められたお肉は、牛豚合挽き肉と、動物性ミートに比べて環境負荷の軽減が期待される植物性のミートを1:1の割合で用いたとのこと。
缶詰で保存されていたとは思えないほどのフレッシュさが残るトマトは、2030年頃に建設予定の月面基地でも生産が予定されているもので、加圧加熱することでヘタの部分まで全て可食することができるのだそう。
トマトに詰められたお肉は、牛豚合挽き肉と、動物性ミートに比べて環境負荷の軽減が期待される植物性のミートを1:1の割合で用いたとのこと。
2品目は缶詰にて保存された「だし」を味わう一品。
今回は、百合根饅頭と色とりどりの菊の花びらが浮かべられ、一足先に秋を感じられるお吸い物としてだしを味わいました。
昆布と鰹節から引いただしは、プロが作る日本料理の味わいや香りに近づけるために加圧加熱の影響を計算し、原材料の分量や抽出時間を調整したのだとか。
だしには塩を加えていないため、好みの味付けにしてすぐに使うことが可能なのだそう。
今回は、百合根饅頭と色とりどりの菊の花びらが浮かべられ、一足先に秋を感じられるお吸い物としてだしを味わいました。
昆布と鰹節から引いただしは、プロが作る日本料理の味わいや香りに近づけるために加圧加熱の影響を計算し、原材料の分量や抽出時間を調整したのだとか。
だしには塩を加えていないため、好みの味付けにしてすぐに使うことが可能なのだそう。
3品目は、レトルトパックにて保存された日本の代表とも言える郷土料理「ぶり大根」。
通常調理とレトルト製造の違いを知る目的で最初に取り組まれた料理で、共同研究の成果が詰まった一品とのこと。
魚のレトルト食品と聞いて思いつくのは缶詰に入った鯖の味噌煮や水煮ですが、魚が煮崩れしていたり煮汁は濁りがちになってしまうイメージがあります。
しかし、加熱工程で様々な操作を加え得るふつうの調理と、圧力釜での加圧加熱が最終工程となるレトルト殺菌との違いを理解し、食材を理想の状態に仕上げるための試行錯誤の末に、濁りがちだった煮汁を澄んだ状態にするための方法を習得したそうです。
通常調理とレトルト製造の違いを知る目的で最初に取り組まれた料理で、共同研究の成果が詰まった一品とのこと。
魚のレトルト食品と聞いて思いつくのは缶詰に入った鯖の味噌煮や水煮ですが、魚が煮崩れしていたり煮汁は濁りがちになってしまうイメージがあります。
しかし、加熱工程で様々な操作を加え得るふつうの調理と、圧力釜での加圧加熱が最終工程となるレトルト殺菌との違いを理解し、食材を理想の状態に仕上げるための試行錯誤の末に、濁りがちだった煮汁を澄んだ状態にするための方法を習得したそうです。
4品目は、レトルトパックに保存されたフランス料理の「鹿スネ肉のブレゼ(煮込み)」。
国産ジビエ認証施設・長野県富士見高原ファームの鹿スネ肉をレトルトすることで実現した一品です。
本来下処理や加熱に時間がかかるイメージの強いジビエ料理ですが、レトルトすることで、多くの手間を省きながら、安全でおいしい料理に仕上げることができることがわかったのだそう。
特に農作物に大きな被害を与える野生鳥獣の代表格である鹿の肉の中でも人気のないスネ肉は、そのままだと筋が多く硬い部位ですがじっくり煮込みレトルトすることでホロっと柔らかな味わいになっています。
また、付け合わせやソースも個々にレトルトパックしたもので、一皿に異なる風味の素材を盛り付け新たな素材と組み合わせることでバリエーションが広がる可能性を見出したのだとか。
レトルトのクオリティを上げることで、常温ストックのレトルト食品を高級料理として提供できる可能性を見出すこともできた一品でした。
国産ジビエ認証施設・長野県富士見高原ファームの鹿スネ肉をレトルトすることで実現した一品です。
本来下処理や加熱に時間がかかるイメージの強いジビエ料理ですが、レトルトすることで、多くの手間を省きながら、安全でおいしい料理に仕上げることができることがわかったのだそう。
特に農作物に大きな被害を与える野生鳥獣の代表格である鹿の肉の中でも人気のないスネ肉は、そのままだと筋が多く硬い部位ですがじっくり煮込みレトルトすることでホロっと柔らかな味わいになっています。
また、付け合わせやソースも個々にレトルトパックしたもので、一皿に異なる風味の素材を盛り付け新たな素材と組み合わせることでバリエーションが広がる可能性を見出したのだとか。
レトルトのクオリティを上げることで、常温ストックのレトルト食品を高級料理として提供できる可能性を見出すこともできた一品でした。
最後の一品は、食後のデザートにぴったりな、丸々1個分のりんごを缶詰にした「タルト・タタン」。
この製品はなんでも、料理人のわがままを聞いてもらった一品なのだとか!
通常、タルトタタンはりんごを少量の砂糖と煮詰めじっくりとオーブンで焼いていく料理のため、当初陶器のココットで焼いていたそうですが、どうしても欲しい表面の焼き色にならなかったそう。
そこで蓋をせず”缶のままオーブンで焼く”という大胆な挑戦をし、さらにレトルト釜で加圧加熱殺菌することにより、長期保存とおいしさを実現。甘さも増して、奥深い味わいに仕上がったとのこと。
長期保存が可能だからこそ、例えば災害時など大変な状況下でもじゅわっとした酸味と甘みが広がる「タルト・タタン」の缶詰が、束の間に心がホッとするような体験を味わわせてくれそうですね。
この製品はなんでも、料理人のわがままを聞いてもらった一品なのだとか!
通常、タルトタタンはりんごを少量の砂糖と煮詰めじっくりとオーブンで焼いていく料理のため、当初陶器のココットで焼いていたそうですが、どうしても欲しい表面の焼き色にならなかったそう。
そこで蓋をせず”缶のままオーブンで焼く”という大胆な挑戦をし、さらにレトルト釜で加圧加熱殺菌することにより、長期保存とおいしさを実現。甘さも増して、奥深い味わいに仕上がったとのこと。
長期保存が可能だからこそ、例えば災害時など大変な状況下でもじゅわっとした酸味と甘みが広がる「タルト・タタン」の缶詰が、束の間に心がホッとするような体験を味わわせてくれそうですね。
担当者が本プロジェクトへ懸ける想い
試食会の冒頭では、辻調理師専門学校 教育研究センター長の山田研氏より、本プロジェクトの背景と概要について説明が行われ、東洋製罐グループ イノベーション推進室長の三木逸平氏が今後の展望について語りました。
また、試食会の最中には、料理の最終調理工程を実演しながら、各担当者より開発された料理の説明や本プロジェクトへの想いが語られ、本イベントは終了しました。
また、試食会の最中には、料理の最終調理工程を実演しながら、各担当者より開発された料理の説明や本プロジェクトへの想いが語られ、本イベントは終了しました。
「+Recipeプロジェクト」では、“食で社会課題を解決する人と環境をつくること”を目的に、今後も研究開発と社会実装を進めていくのだそう。
未来を担う食のプロを育成するため、調理の技術だけでなく、食品包装技術に触れる機会を定期的につくるべく、教育プログラムの検討と実装を目指すという。また、課題を持つ自治体や企業、団体と一緒に「+Recipe プロジェクト」で生まれたソリューションを社会実装すべく、共創を進めていく考えとのこと。
未利用食材の活用、食品ロスの軽減、災害時の食環境の改善に向けた取り組みなど、様々な社会課題の解決を目指してプロジェクトを推進していく姿に今後も期待が高まりますね。
未来を担う食のプロを育成するため、調理の技術だけでなく、食品包装技術に触れる機会を定期的につくるべく、教育プログラムの検討と実装を目指すという。また、課題を持つ自治体や企業、団体と一緒に「+Recipe プロジェクト」で生まれたソリューションを社会実装すべく、共創を進めていく考えとのこと。
未利用食材の活用、食品ロスの軽減、災害時の食環境の改善に向けた取り組みなど、様々な社会課題の解決を目指してプロジェクトを推進していく姿に今後も期待が高まりますね。